【専門家が解説!】精神疾患で障害年金を受け取るためのポイント

うつむく女性

障害年金とは?

「障害年金」とは、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、
現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

「障害年金」には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」があります。病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」を受け取ることができます。

障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残った場合は、障害手当金(一時金)を受け取ることができます。

ただし、障害年金を受け取るには、年金の納付状況などの条件が設けられています。

障害年金の受給対象の傷病例

障害年金は、ほとんどすべての病気・障害で受給できます。

ただ、一定期間の治療を受ければ直る病気ははいりません。例えば、風邪や全治数ヶ月と診断されるようなケガです。

原則として、初診日から1年6ヶ月経つ日まで、障害年金の申請は認められないこととなっています。

以下に障害の部位と対象の傷病名を挙げました。しかし、これは代表的な病名であり、就労や日常生活に支障を来す病気・障害であれば受給の可能性があると考えてください。

障害部位 傷病名
精神の障害 老年及び初老期認知症、その他の老年性精神病、脳動脈硬化症に伴う精神病、アルコール精神病、頭蓋内感染に伴う精 神病、統合失調症、統合失調感情障害、妄想性障害、気分障害(うつ病)、反復性うつ病性障害、気分変調症、躁うつ病(双極性障害)、非定型精神病、てんかん性精神病、知的障害(精神発達遅滞)、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症スペクトラム、高次脳機能障害、若年性アルツハイマー型認知症、ダウン症候群、トゥレット症候群、慢性疲労症候群
悪性新生物による障害 胃がん、直腸がん、肺がん、乳がん、膀胱腫瘍、喉頭がん、肝臓がん、消化管間質腫瘍(GIST)、潰瘍性大腸炎 、人工肛門、新膀胱等増設
眼の障害 白内障、緑内障、ぶどう膜炎、眼球萎縮、癒着性角膜白斑、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、網膜動脈血管硬化症、網膜中心性静脈血栓症、視神経萎縮、先天性弱視、小眼球症、ベーチェット病、黄斑部変性症、眼瞼痙攣、シェーングレン症候群、アッシャー症候群
聴覚の障害 メニエール病、感音声難聴、突発性難聴 、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害 、薬物中毒による内耳障害、特発性両側性感音難聴、神経性難聴、混合性難聴、ストマイ難聴、アッシャー症候群
鼻腔機能の障害 外傷性鼻科疾患
そしゃく・嚥下機能、音声又は言語機能の障害 咽頭摘出術後遺症、上下顎欠損、咽頭腫瘍、喉頭がん、脳血栓による言語障害
上肢の障害 上肢又は下肢の離断又は切断障害、上肢又は下肢の外傷性運動障害、脳卒中、脳塞栓症、 脳軟化症、椎間板ヘルニア、重症筋無力症、関節リウマチ、バージャー病あるいはビュルガー病、脊髄損傷、脊柱管狭窄症、進行性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、膠原病、多発性硬化症、小児麻痺、ポリオ、 ポストポリオ症候群、パーキンソン病、もやもや病、ギランバレー症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、ベーチェット病、ヤコブ病、ミトコンドリア病、骨髄異形性症候群、球脊髄性筋萎縮症、痙性対麻痺、大腿骨骨頭壊死、先天性股関節脱臼、変形性股関節症、脊髄小脳変性症、低酸素脳症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、梨状筋症候群、脳性麻痺、糖尿病性壊死、線維筋痛症、脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)、多系統萎縮症(MSA)、大脳基底核変性症(CBD)、遠位型ミオパチー、ジストニア
下肢の障害
体幹・脊柱の障害
肢体の機能の障害
平衡機能の障害 メニュエール病、上記(上肢、下肢、体幹・脊柱、肢体)の傷病で小脳、脳幹の障害のあるもの
神経系統の障害 ヤコブ病、悪性神経膠腫、進行性多巣性白質性脳症、糖尿病性神経障害疼痛、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー、反射交感神経性萎縮症)、神経痛を伴う病気
呼吸器疾患による障害 肺結核、間質性肺炎、じん肺、気管支喘息、慢性気管支炎、膿胸、肺線維症、肺気腫
心疾患による障害 慢性心包炎、リウマチ性心包炎、慢性虚血性心疾患、冠状動脈硬化症、狭心症、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁逸脱症、感染性心内膜炎、大動脈弁狭窄症、心筋梗塞、完全房室ブロック、拡張型心筋症、洞不全症候群、帽弁閉鎖不全症、肺動脈性高血圧症、心不全、肺血栓塞栓症、シャント性心疾患
腎疾患による障害 慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、ループス腎炎、糖尿病性腎症、多発性のう胞腎
肝疾患による障害 肝硬変、多発性肝腫瘍、肝ガン、慢性肝炎
血液・造血器疾患による障害 白血病、再生不良性貧血、凝固因子欠乏病(血友病)、赤血球症
代謝疾患による障害 糖尿病、『糖尿病性』と明示された全ての合併症(診断書は障害状態を適切に評価できる様式を選択することが重要。)
高血圧による障害 悪性高血圧、高血圧性心疾患、高血圧性腎疾患
その他の疾患による障害 難病、HIV感染症、クローン病、化学物質過敏症、日光過敏症、尿路変更術、人工肛門設置、新膀胱増設、臓器移植、慢性疲労症候群、化学物質過敏症、遷延性意識障害(植物状態)
重複傷病による障害 身体機能の障害や精神の障害が重複する場合(傷病名は省略)

 

障害等級認定基準とは

障害等級認定基準とは、障害の程度がどの等級に該当するかを判断する基準です。法律でその等級は決められています。等級ごとの具体的な障害の状態は、国民年金法施行令別表で定められています。
ただし、障害年金の対象となる病気・障害は幅が広く、国民年金法施行令別表だけでは、該当するのか、何級に該当するのか判断が難しい場合が多くあります。
したがって、傷病別、傷害別に具体的な認定基準を定めています。

 

障害等級とは

障害等級 1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活ができない程度のもの。 (他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度)

 

障害等級 2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、 日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。 (必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度)

障害等級 3級

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。 また、傷病が治癒していない場合は労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。

障害年金等級表

1級 (国民年金法施行令)

番号 障害の状態
1号 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2号 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
3号 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
4号 両上肢のすべての指を欠くもの
5号 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
6号 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
7号 両下肢を足関節以上で欠くもの
8号 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
9号 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
10号 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
11号 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

 

2級 (国民年金法施行令)

番号 障害の状態
1号 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2号 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
3号 平衡機能に著しい障害を有するもの
4号 そしゃくの機能を欠くもの
5号 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
6号 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
7号 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
8号 1上肢の機能に著しい障害を有するもの
9号 1上肢のすべての指を欠くもの
10号 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
11号 両下肢のすべての指を欠くもの
12号 1下肢の機能に著しい障害を有するもの
13号 1下肢を足関節以上で欠くもの
14号 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
15号 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
16号 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
17号 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

 

3級(厚生年金保険法施行令)

番号 障害の状態
1号 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2号 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
3号 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
4号 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
5号 1上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
6号 1下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
7号 長管状骨(上腕、前腕、大腿、下腿の管状の骨)に疑関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
8号 1上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、1上肢の3指以上を失ったもの
9号 おや指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの
10号 1下肢をリスフラン関節(足趾の一番付け根、土踏まずの前方)以上で失ったもの
11号 両下肢の十趾の用を廃したもの
12号 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
13号 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
14号 障害が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生大臣が定めるもの

 

障害手当金(厚生年金保険法施行令)

番号 障害の状態
1号 両眼の視力が0.6以下に減じたもの
2号 1眼の視力が0.1以下に減じたもの
3号 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4号 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
5号 両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能に著しい障害を残すもの
6号 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
7号 そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの
8号 そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの
9号 脊柱の機能に障害を残すもの
10号 1上肢の3大関節のうち、2関節に著しい機能障害を残すもの
11号 1下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
12号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13号 長管状骨(上腕、前腕、大腿、下腿の管状の骨)に著しい転移変形を残すもの
14号 1上肢の2指以上を失ったもの
15号 1上肢のひとさし指を失ったもの
16号 1上肢の3指以上の用を廃したもの
17号 ひとさし指を併せ1上肢の2指の用を廃したもの
18号 1上肢のおや指の用を廃したもの
19号 1下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの
20号 1下肢の5趾の用を廃したもの
21号 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
22号 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 

Q.精神疾患は、働いている場合、もらえるの?

A.もらえます。ただし、実際には、受給されている方で働かれている方の割合は、非常に低いものとなっています。
厚生労働省の平成26年の統計は、次の通りとなっています。

国民年金の受給者の中の仕事をしている人の割合の表

障害の内容 常勤の会社員または公務員として勤務している人 常勤以外の仕事(パートや障害者雇用、自営業など)の仕事をしている人
精神疾患

(うつ病や統合失調症など)

0.9% 18.4%

精神疾患は、働いていると3級と判断されやすい

精神疾患は、働いていると3級と判断されやすくなります。理由は、働いていると症状が軽いと見られやすいからです。例えば、ただ漫然と「働いている」といえば、「毎朝、決まった時間に職場に向かっている」「職場の他の職員とコミュニケーションを取っている」とみなされるからです。

精神疾患は、状況によって2級と判断されるケースもある

精神疾患は、働いていると、原則として3級と判断されます。しかし、この場合でも、働くことに支障が出ているのはないでしょうか?全く支障がなく働けているのであれば、3級ですが、支障がでていれば、2級の可能性があります。
1. 病気により、仕事に内容が大幅に制限されている場合
2. 職場に配慮してもらって仕事をしている場合
3. 欠勤や遅刻を繰り返している場合
4. 休職中の場合

1.病気により、仕事に内容が大幅に制限されている場合

一般的に、当事者は、仕事に支障が出ているとは考えたくないものです。しかし、一般的には、精神疾患の場合、生産性が半分程度まで低下すると言われます。このことを数値化、具体化して記載さることが必要です。また、精神疾患のため、職務内容がかなり制限される場合があります。例えば、お客様との直接にやりとりをしないなどです。こうした客観的事実を会社に文書で証明してもらう方法もあります。

2.職場に配慮してもらって仕事をしている場合

会社が精神疾患であることを理解して、配置転換、就業時間など配慮している場合です。元々フルタイムであったものを短時間勤務に切り替えたりしている場合です。こうした事実を会社に文書で証明して貰う方法もあります。

3.欠勤や遅刻、早退を繰り返している場合

本来、所定の始業時間に出勤できない場合、しばしば起きれなくて欠勤する、気分が良くなく早退するなどの場合です。これは、正常に働いているとは言えないです。

4.休職中の場合

形式的に在職しているだけであり、実質的には働いていないことになります。

精神疾患は、診断書に数値で記入することが難しいものです。しかし、診断書の内容をもとに、日常生活にどれくらい制限を受けているかを確認されます。診断書には、就労実態に関わる診断項目、報告欄があります。これが審査に影響します。
たとえば、帰宅後や休日はぐったりしていて、家事ができない、お風呂も週3回くらい、外出もほとんどしない場合は、生活に支障が出ていると判断されます。この場合、このことをきちんと医師に報告して診断書に記入してもらうことが大事です。

申請のポイント

1.医師とよくコミュニケーションをとる

就労や生活の実態を医師と共有する必要があります。精神疾患で働きながら障害年金を受給するには、会社から特別な配慮を受けていたり、勤務時間以外の生活の面で支障が出ていることなどが必要です。そしてその就労の実態は、診断書に反映してもらわなければなりません。
したがって、診断書の作成を依頼する医師とは、日ごろから、就労の実態について情報を共有する必要があります。

2.できあがった診断書を必ず確認する

たとえば、就業状況が空欄になっている場合もあります。この場合は、なんの問題もなく就労できているものと審査の段階で判断されます。そして、障害等級が低く認定されたり、あるいは、不支給と認定されてしまいます。
もしも、空欄になっていたり、もっと生活や就労状況で支障が出ていることがあるのに書かれていなかったりしたら、しっかりと医師のその旨を主張し、診断書の内容を修正してもらう必要があります。

お問い合わせください

社会保険労務士に障害年金申請代行を依頼する方法があります。

就労しながら障害年金を受給するためには、職場から配慮を受けていることや帰宅後、休日にぐったりして、生活が上手くいっていないことを上手に医師につたえることが必要です。
たとえば、私たちに依頼されると、医師への診断書作成依頼書をつくっております。この依頼書に、診断書に盛り込んでほしい日常生活や就労の実態を代行してお伝えします。これが、適切な内容の診断書をそろえるのにお役に立てると思います。

自力での申請はかなり難易度が高いです。そうであれば、障害年金申請代行の利用をぜひ検討してみてください。

まずはお電話か問い合わせフォーム・LINEでご予約ください

050-1791-0799

メールでお問い合わせはこちらから

LINE相談はこちらから

※電話受付時間 : 平日9:00~17:00

※メールは24時間受付中

 

関連するページ